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外山志和の突撃レポート
第1段 里山にアリ団子を見た! |
はじめに
世紀のスクープ「アリ病」を掲載した、わが「季刊 昆虫生活」では、今流行のアリに着目し、アリ番記者を置くことにしました。他ならぬ、アリ病劇症型と診断された外山志和です。彼女は、長く厚生省・環境庁番だったのですが、壊れてきましたので遊軍として野に放すことにしました。これが、その第一段「アリの採集会レポート」です。ご応援ください。(編集長 七会一平)
志和でーす。「季刊 昆虫生活」で、野良志和になっちゃいました。よろしくお願いします。さて、今回は第一段として、軽ーく「アリの採集会」レポート。採集会に潜入してきました。そして「アリ飼育の2004年を振り返る」と題して、座談会を紹介します。
楽園への道 一常磐線
さて、わたくしシワちゃんこと外山志和は、アリ採集会が行われるという茨城県は土浦市に向かいました。土浦はレンコンだけでなくアリも採れるんですね。知りませんでした。そこは緑の森と泉が湧く楽園だと編集長に聞きました。ブルーシャトーで昼食ですねえ。わくわく。
さて、上野から土浦行きの常磐線各駅停車。おや、各駅停車の旅ですね。しかも目的地が終点ですぞ。これで寝過ごす心配もない。寝てたら車掌さん起こしてくださいね。
日暮里を過ぎると、早くも眼下は下町。上野も下町風だものね、南千住から北千住に「よし、ここで最初の途中下車だ。おいしいものを食べまくりだー」「あれあれ、シワちゃん、これは途中下車の旅ではありませんよ」天からの声に助けられ千葉県に突入。車窓から見える景色は緑が増えてきました。ああ、今度は音楽が聞こえます。富士通のロゴが。ちょっとテレビに影響されすぎですね。反省。
江戸川を超え、利根川も超えると茨城県です。列車に乗っているお客さんも減って来ました。駅と駅の間も長くなっています。窓の外に田畑が増えました。これが楽園への道なのですね。魅惑のレイルロードですわ。
バス釣りのメッカ 一霞ヶ浦
さて、終着土浦駅。余裕をもって家を出たので集合時間まで30分あります。さてどうしよう?と思ったら、目の前を釣り竿を背負った若者2人。同じ電車に乗って来たようです。これを追跡しなければ雑誌記者は勤まりません。改札を出て若者の後を追います。すると周りには竿を持つ人が増えています。ドキドキ「急に竿でぶたれるってことはないですよね」「中が長ドスで、目的地がやっさんの事務所で出入り」ってこともないですよねえ。はい、皆さんの予想通り、目的地は霞ヶ浦でした。凄いです、駅から歩いて3分、霞ヶ浦の船着き場に着きました。もう、30人ほどの人々が釣りをしていました。釣りも見たいけど、早めに集合場所で待ってようっと。
魅惑の森と池 一宍塚大池
さて、10分前に集合場所である土浦駅改札前に行くと、それらしい人が集まっていました。「おはようございます」と笑顔で声をかけると「何だ、来てたのか」と冷たいお言葉。そうですよ、30分も前から来ておりました。「じゃあ、行きましょう」、この方が今回の主催者、筑波アリ類研究所の安武八所長のようですね。ドキドキ、ノコギリで叩かれたり、鉈でぶたれたりしませんように。
安武所長の車で10分、宍塚大池に到着です。道がどんどん細くなって、対向車が来たらどうするんでしょう?来ませんでした。大池には、水鳥がたくさん、1、2、3、4、いっぱい。同行の半田真一さんいわく「500くらいですね。雁と鴨ですね」「わー、アリ屋さんなのにトリも知ってるんだね。クチバシでつつかないでね」。こればっか。
車で、採集道具を降ろし、歩くこと3分「ここで、始めましょう。シワさんは私と一緒に枝折り。半田さんと小田さんは竹割りでしょ、半田さん小田さんに教えてあげてくださいね」「はーい、そうしましょう」「この人たちは本当に初対面なのだろうか?私をだましているのだろうか?弄(もてあそ)んじゃいやですよ」。
「出たよー」まず安武さんから声がかかりました。「ハリブトシリアゲアリ。女王いないわ」うじゃうじゃです。「こっちも出ました」今度は半田さんです。「ミカドです。女王いません」。あら大きい、これがネット掲示板で話題の帝大蟻(みかどおおあり)ですね。とても美くしゅうございます。でも、囓(かじ)られそう。あ、睨まれた。わたくし、とても僕(しもべ)になれません。我が家のアリンコ様が精一杯です。
20分ほど竹を割ったり、落ちている枝を割ったりしておりました。「出たー、安武さん出ましたー」「やったね。なになに」「ハチですー」「おお、フタモンアシナガバチだね。単独越冬だ、持って帰れば」、安武さんに差し上げました。さ、これを契機に出まくりです。出るわ出るは、出まくりです。ハチが8匹、甲虫の幼虫だという芋虫さんが5匹、カミキリの幼虫が多いようですよ。ここでお茶飲み休憩です。
昆虫食のメッカ 一信州・伊那のお話し
お茶うけは、何とみなさん鹿肉です。安武さんが自分で作ったという炭火で焼かれた肉です。ああ、バンビちゃん、わたくしにはとてもとても・・・・・・おいしくいただきました。脂が少なく柔らかく、とてもヘルシーですわ。安武さんがこの鹿肉をいただいた方が、かのアントハンター吾下安利さんです。私と一緒に「スクープ アリ病」に登場した吾下さん。アリ病をカミングアウトされていました。最近厳冬期はますます磨きがかかってますね。昨年秋に吾下安利さんに会った安武さんがおっしゃるに、吾下安利さんは背の丈6尺20貫(2m100kg)の大男で、色は赤黒く、毛皮のジャケットを着た姿は、鬼のようでいらっしゃる。素手でイノシシを殴り殺すらしいですから、凄いですわね。鹿の毛皮を羽織っているのだそうです。わたくしなど囓られてしまうのでしょうか?
安武さんが会った時は、鉞(まさかり)担いで、樹木を切り倒しまくりアリを採集していたそうです。ああ、吾下さんの後を歩いて、おこぼれを頂戴したいです。信州・伊那は昆虫の宝庫で、ちょっと沢に入ると日本の国蝶オオムラサキが飛び交い、見上げれば樹皮に玉虫(タマムシ)が止まり、カミキリ、クワガタ、池にはトンボが飛び交い、草むらではカマキリがバッタを食べている。そんな処だそうですわ。しかも、吾下安利さんは何でも佃煮にして食べてしまうそうです。ああ、わたくしはとても住めませぬ。
魅惑の湖の畔 一宍塚大池
さて、午後も順調に取り続け、寒くなったので日の当たる池の畔(ほとり)に移動です。全員で枝折りが始まりました。わたくしも一緒に折りまくりです。出ます、出ます、芋虫さん。午後も絶好調ですわ。そして、ついに神が降りました。ぱかっと割った竹からアリが出ましたー。感激です、これで私もアリンコゲッターの仲間入りですわ。ほっほっほ、編集長!これからはアリンコゲッター志和ちゃんとお呼び!
さて、このアリはウメマツオオアリというらしいです。安武さんも池の方へ消えたと思ったら、イトウオオアリという別のアリを見つけてきました。さすがですね、用を足しに行ってもただでは帰ってきません。日が傾いて、本日の採集会は終了です。
本日の成果、半田さんから発表です。「まずミカドオオアリ、小田君がビギナーズラックもあり女王コロニーゲットしました。体力勝負おめでとう」パチパチパチ・・・「そしてハリブトシリアゲアリ、志和さんにお土産です。女王だけのと女王がいないコロニー、両方お持ち下さい」パチパチパチ・・・「あとはウメマツオオアリとイトウオオアリ、謎のケアリ、ヒメアリの小さいコロニー、女王はいるかどうか分かりません。以上です」パチパチパチ・・・。
かようにして採集会は終えたのでした。もっと、おしゃべりしながら和気藹々(わきあいあい)と採集するのかと思っていましたが、オリャーとかワリャーとのかけ声も聞こえますが、皆さん黙々とアリを探すのでした。もうびっくり。
第2部座談会 アリ飼育の2004年を振り返る
さ、ファミリーレストランに移動して、座談会です。司会はわたくし外山志和。安武所長と半田さんに語っていただきました。
外山志和(司会):安武八所長、半田真一さん、小田ちゃんお疲れさまでした。今日はありがとうございました。
皆さん:お疲れさまー
志和:さて、「アリ飼育の2004年を振り返る」よろしくお願いします。まず、半田さんウェブサイトで「アリの飼育ページ」を主催しているとのことですが、そこら辺から
半田:アリ飼育は初心者なんで、ちょっと恥ずかしいんですけど、安武さんを始め、色々な人の協力でホームページが充実してきました。アクセス数も多いですね。毎日100件以上あります。
安武:綺麗なホームページだよね。絵と写真が多いから読みやすい。他にもアリのサイトはあるが半田さんのが一番だな。
半田:誉めすぎですよ
安武:会った人は、よいしょする主義じゃ
志和:わたくしもアリの勉強を始めたばかりです。奥が深いですね。
半田:今、アリ飼育のサイトが20件くらい。私が参加しているBBSの常時参加者が10〜15人くらいですね。これって増えてきてますよね、安武さん。
安武:ここ数年の傾向ですね。アントクアリウムという飼育キットの発売が原因と私らは読んでおる。社会的に場が形成され、別次元でより高度な文化機構が構築されたと見ておる。
志和:もうちょっと、わかりやすく言ってください。
安武:アントクアリウムという、くだらんおもちゃが発売されたのじゃ。今までもアリの飼育キットは「アリの大国」など、これもくだらんが、何種類か発売されておった。これらは子供向けだったが、今回のアリウムというのは大人向け商品なんじゃ。ちんけで、高くて、しかもコロニーではアリが飼えないという最低の代物じゃ。
半田:そこまで、言いますか?
安武:だが、モノは最低でも売れておるらしい。噂では日本で10万個、世界で100万個を越えたという。そうすると、人間社会に「アリは飼ってもよい」という風潮が生まれるのじゃ。これを「場の形成」と言っておる。すると「私も飼おうかな」と思う人が湧いてくる。出てくるのではないぞ、湧いてくるのじゃ。小学生の時虫好きだったとか、テレビで見て興味をもったとかね。「虫を食べない猿はいない」と言われヒトは元々虫好きなんじゃ。遺伝子に組み込まれておる。
志和:まあ、遺伝子ですか?
安武:ま、「本格的にアリを飼おうというヒトが出るのは必然だ」ということだ。今はインターネットのサイトで、あちこちで個人的にアリ飼育を始めた人が有機的につながっていく。これが、文化的機構の構築という事じゃ。分かったかの?
志和:なるほど。アントクアリウムとインターネット社会が「アリ飼育ブーム」の元ということですね。なるほどね。
安武:君達も「アリ病」の文献をもう一度読み直しなさい。
小田:アリ病って何ですかー?
志和:小田ちゃん、あなたの事よ。
小田:・・・・・・?
半田:今度、ゆっくり説明するよ。
志和:で、アリのサイトが出てきたのはいつ頃ですか?
安武:もう一つ、要因があるんじゃ。
志和:アントクアリウムとインターネットともう一つですか?
安武:「アリデータベース」じゃ。これは「日本蟻類研究会」という組織のプロジェクトチームで作られた日本産のアリ、全種が調べられる画期的なデータベースじゃ。1994年に公開された。これがあるので、皆安心して、飼ったり採取したりできるのじゃ。ま、社会的安定剤と言えるのう。
半田:ボクもずいぶん参考にしてますよ。もうちょっと記載があるといいんですけどね。
安武:ま、段々と生態や行動の記載が増えるであろう。あれだけのもの一気に、誰もが満足するものはできないからな。
半田:そうですね。吾下さんもすでに「見つけたアリが、長野にいないことになってる」って言ってました。
安武:アリの研究者は少ないので、抜ける県がでるんだね。北海道、栃木、東京、神奈川、京都、香川、鹿児島、沖縄など調査が進んでいる県と秋田、鳥取などの県はあまり調べられていないので抜けちゃうよね。長野などは高山種は調査されるが、逆に普通種が抜けたりするね。
志和:アリブームの背景は分かりました。
半田:バックがしっかりしてるから、これはブームでは終わりませんよ。
安武:もう一つ。アリの飼育が他の昆虫飼育とは違うところがあるのじゃ。アリの飼育は科学=生物学に直結することじゃ。カブトムシの飼育でも、温度や栄養など科学的に考える必要はありますね。でもアリは、それだけでなく、なぜ女王と働蟻が生まれるのか?働蟻同士はどうやってコミュニケーションを図っているのか?働蟻の大きさが違うのはなぜか?女王の産卵はどうゆう機構なのか?など生物学、化学や統計学などを駆使しないと解けない疑問が次々と浮かんでしまうのです。
半田:本当に、そういうことでも面白いんでしょうね。いろんな種がいて、どこにでもいるのも良いのでしょうね。都会の真ん中じゃ、採れないけど、ちょっと郊外に行けば採集できますからね。ボクもアリを購入して育てていますけど、自分で採集したアリは住んでいた場所が目に浮かぶので、愛(いと)しさ一入(ひとしお)ですよ。
安武:志和さんもアリを飼っていると聞いたがね。
志和:あら、誰から聞きましたの?わたくし、アリは飼っているけどアリコロニーは飼っていないというか・・・・・
半田:安武さん、禁句です。
志和:話を戻しましょう。2004年はどうでしたか?
半田:ぼくはアリを飼い始め、ウェブサイトも作りましたし、充実しました。2005年は、どんな人が訪れるか?いまからドキドキです。安武さんはページを作らないんですか。
安武:面倒でね。ああゆう、終わりのない仕事って趣味でやると危ないよね。切りないでしょう。締め切りもないから。
志和:あああ。耳が・・・・痛い。話を戻しましょう。2004年はどうでしたか?
安武:私は2003年から掲示板っていうのBBSに出入り始めたんじゃが、人と話をすると刺激になるのお。私は目標個人主義なんじゃが、人にアリの面白さを教えるのも面白いのう。レベルの低い連中と共同作業をするのは嫌いなんじゃが、レベルが上がるのが早い連中が多くてのう。8カ所のサイトに出入りしておるわ。2006年には、先程の宍塚で「アリ自然観察会」を始める予定で、採集を進めておるのじゃ。
半田:なるほど、面白そうですね。冬場に採集して、夏場は観察会。アリがゾーロゾロですね。
志和:アリがゾーロゾロですか?
半田:ゾーロゾロですね。
志和:話を戻しましょう。2005年はいかがでしょうか?
半田:アリの種類も増えましたので、これを順調に育てるのと、やはり映像ですね。スチール写真と動画、面白い行動を撮りたいですね。
志和:安武さんは?
安武:別にこれといっては、毎度のことを毎度のようにじゃ。ただ、また面白い連中が湧いてきそうな予感はするのう。インターネットで、こちら側の受け入れ態勢は万全じゃで心配はないのう。皆で弄(いじ)りすぎないようにすることくらいかな?世話焼きが多いからのう。
志和:どうも長い時間ありがとうございました。今日はこのへんで終了です。
安武:で、外山さんは何飼ってんの?
志和:で、ですから・・・・・
以上、外山志和の突撃レポートでした。
後記:強烈でした。次から次と現れるアリたち。団子ですよ、団子。ハチと芋虫。虫って凄い!緑の森と青い大池、多数の水鳥ととても良い処でした。会にみなさまに感謝!
この物語は事実を元にしたフィクションです。毎回、勘違いする人がいますが、ありそうな話のフィクションです。登場人物は、いるようですが実在しません。
外山志和シリーズ第一段いかがでしたでしょう。ちなみに外山志和(とびしわ)です。次回作、潜入レポート、どこに潜入しようかな?
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