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アリンコものがたり 青春編 |
第壱話 たまちゃんの憂鬱
1-1 部室
某大学の一室、若い男女5人が話をしている。
A 「で、こないだその猫がモグラ取ってきてさ・・・・」
B 「ポチの毛が抜けてまいるよ・・・・」
バン! ドアが開いて男が入ってきた。
安武「ウィース」
D 「安武(やすたけ)先輩、こんばんは」
E 「お疲れでーす」
安武「だから、先輩付けるなって言ってんだろ。何度言っても、わかんないな!」
D 「すいません」
E 「安武さん、お茶どうぞ」
安武「おお、ありがとう。たまちゃんは気が利くねえ。さすが」
玉川「その先は言わないで、どうせ・・・・」
安武「で、他に誰かいるの?」
玉川「奥に黒柳(くろやなぎ)さんが、いらっしゃいます」
安武「実体顕とにらめっこ?」
と左右の手を丸めて言った。
玉川「はい」
安武「相変わらずだね。奥は一人だけ?」
と、5人を見回しながら言った。
A 「ボクはこれで失礼しまーす」
B 「ボクもちょっと見たいテレビがあるので」
安武「はい、ご苦労さん。またね」
5人は一斉に出ていった。『おしゃべりにテレビか!少しは研究しろよ』安武はつぶやいた。
安武「おーい、黒柳くん。吾下(われもと)は?」
研究室へのドアを開けて叫んだ。
黒柳「ああ、安武さん。来てたんですか!?吾下くんは採集です」
安武「今日も採集に出てるんだ」
黒柳「ええ、細野(ほその)さんと一緒だと聞いてますよ。そろそろ戻るでしょう」
と、部室のドアが開いた。
吾下「チース」
安武「ウィース」
吾下「あれ、安武さんだけっすか?」
長椅子の上にヘルメットとザックを置きながら言った。
安武「ああ、若い連中は、さっき帰った」
吾下「あら、採集品の整理を手伝ってもらおうと思ったのに」
安武「残念でした」
と、2人はテーブルを挟んで座った。
吾下「黒柳くんは?」
安武「奥にいるよ」
吾下「観察ですか?」
安武「そうみたいね。実体顕のぞいてるわ」
吾下「まだ、8時前ですからね」
安武「細野さんと一緒だったの?」
吾下「ええ、細野さんは研究室に行きました。今日中に標本にするようですよ」
安武「仕事人だからなー」
吾下「明日も採集ですからね。溜めたくないんでしょう」
安武「おー、明日もかい。ま、とりあえず、呑むべ」
吾下「ボクはまだ整理があるんですよ」
ザックからケースを次々と出し始めた。
安武「俺も手伝うから、呑みながらやるべ」
吾下「そうっすね」
安武「そうそう、標本作りじゃないから、呑んでも大丈夫、大丈夫」
机の上を片付け始める2人。その時、ドアが開いて女が入ってきた。
志和「遅くなってゴメン!」
吾下「えっ?」
志和「あれ?人が少ない。今日、部会じゃないの?」
吾下「えっ?部会は昨日だよ!」
志和「今日、水曜日でしょ?」
安武「今日は木曜日だけど」
志和「あら、一日多く寝てたのかしら」
吾下「志和(しわ)ちゃーん!」
志和「じゃ、バイトの日だ。やばーい、早く行かないと夕食が・・・・」
ドアを開けて出て行く。
吾下「夕飯付きの家庭教師らしいですね」
安武「相変わらず、あわただしく生きとるねえ」
吾下「ですね」
安武「楠(くすのき)は?」
吾下「部長は、採集に行ってるはずですよ」
安武「あれ、君たちと一緒じゃなかったの?」
吾下「ええ、南の方に行くと行ってました。もう戻ると思いますね」
安武「ま、呑もう」
安武は湯飲みに日本酒を注いだ。
吾下「どうも お疲れです」
安武「はい、ご苦労さん」
2人は湯飲みを持ち上げて、乾杯し飲み始めた。
吾下「じゃあ安武さん、このビンを数えてもらえます」
安武「種類別に並べていけばいいのかい?」
吾下「そうですね」
作業をしていると、志和が入ってきた。
志和「バイト中止になっちゃった」
吾下「どうしたの?」
志和「熱があるから寝るんだって。もう根性なしなんだから」
安武「志和ちゃん、最近は土浦に行ってるの?」
志和「え?土浦?安武さん、私のフィールドは多摩川ですよ」
安武「あれ、そうだったの?」
志和「今、多摩川はこないだの台風で水浸し!調査できませーん」
吾下「え、さっき通ったけど水なかったよ」
志和「えー、本当!やばい、もう引いたか?」
安武「ははは・・・・」
志和「後で行こう!」
吾下「えっ、もう8時だよ」
志和「時間は関係ありませんから」
研究室側のドアが開く。
黒柳「志和ちゃん」
志和「あ、黒柳くん。いたの?」
黒柳「こないだ教えたマーキングやった?」
志和「うん、やった。やったよ」
黒柳「何個体くらい?」
志和「うーんとね。1、2、3、4・・・・一杯だね」
黒柳「うまくいった」
志和「うん、水没した!」
黒柳「えっ?」
志和「私のフィールドは水没中です!さ、様子見に行こう」
そそくさと、志和は出ていった。
吾下「あれは行かないね!」
黒柳「しかもマーキングもしてないな」
安武「家に帰って寝るパターンだな」
一同、うなずく。そこに楠登場。
楠 「こんばんは。自転車の志和ちゃんとそこですれ違ったけど、今からフィールドですって?」
一同「うーん、どうかなあ」
楠 「今日はゲットしましたよー」
吾下「あれ、これは?メスですね?」
楠 「うん、何だろうね?この腹部の模様、この光沢。いいよね」
吾下「そうっすね」
楠 「さあ、同定しよう」
楠は、研究室に入っていった。
安武「黒柳くんも呑むべ」
黒柳「そうですね。ちょうどきりもいいし」
安武は、茶碗に酒を注いだ。
吾下「はい、黒柳くんこれよろしく」
黒柳「あら」
3人の酒盛りは深夜まで続いた。
1-2 志和のアパート
志和「これは、しくった!24時間多く寝てたか!?さて、とりあえず」
電話機を取った。
志和「もしもし、たまー」
玉川「はい、玉川です。何でしょう」
志和「志和でーす。とりあえず、わたしのアパートにおいでよ」
玉川「はいはい、了解しました」
5分後、玉川がやってきた。
志和「たまちゃーん、待ってたわ。さ、いいことしましょ」
玉川「え?な、何ですか?」
志和は立ち上がると、上着を脱ぎ、奥の部屋に入っていった。
志和「たまちゃんも こっちにおいで」
玉川「な、な、なんですか」
おそるおそる部屋をのぞく玉川。テーブルの上にはプラスチックケースが置いてあった。
志和「はい、そこに座って。」
玉川「はい」
志和は、玉川に4色のペンを渡した。
志和「マーキングよ」
玉川「ええっ?」
志和「クロちゃんに聞いた手前、やらざるえないのよ」
玉川「でも、何でわたしが?」
志和「たまちゃん、わたしのフィールド知ってる?」
玉川「多摩川でしょ!?」
志和「そう。あなたの名前は?」
玉川「玉川・・・・。ええ、それで!?」
志和「そう、同じ名前のよしみってことで」
玉川「全然、関係ないですけど・・・・」
志和「たまちゃん、あなたは多摩川のアイドルよ!!」
玉川「はあ?」
志和「まあまあ、覚えておいて損はないから」
玉川「はあ↓」
志和「大丈夫、200番まで付ければいいんだから。付け方はね・・・・」
玉川「はあ→」
この作業は深夜まで続いた。
玉川「志和さーん、寝ないでくださいよー」
1-3 学生食堂
玉川「はあ、今日は最悪。1限遅刻するし、お弁当は作れなかったし」
と、天ぷらうどんをすすっている。
坂神「玉川さん、・・・・だったよね」
玉川「あ、先輩!」
坂神「どうしたの?ため息付きながら、うどんすすって」
玉川「サークルやめようかと思って!」
坂神「え、どうしたの?何かあった」
玉川「先輩たちに付いていけません」
坂神「詳しく話してごらんよ」
玉川「昨日は、マーキングで徹夜だし、こないだは剪定ハサミで指切るし、杉のトゲはささるし・・・・」
坂神「はは、そんなのすぐ慣れるさ。ボクなんか手は傷だらけだし、蚊に喰われても腫れなくなったよ」
玉川「そーなんですか?」
坂神「細野さんや吾下は、ウルシにかぶれないよ」
玉川「ええっ、本当ですか?」
坂神「うん、半年ほどで慣れたらしい」
玉川「はー、やっぱり悩んじゃうなあ」
坂神「今年は2回生が多いから、いろいろいるよね。ボクらが入った時は先輩が少なかったからね」
玉川「そーですね。天野さんが部長だったんですか?」
坂神「そう。でも、あの人あまり部室に来ないからね。安武さんも卒論だったし」
玉川「そーかー。それで皆さん個性的なんですね」
坂神「かまってくれる先輩がいるのを楽しまなきゃ」
玉川「そーですね。もうちょっと頑張ろうかな」
坂神「そーそー」
食後、坂神と玉川は一緒に部室に行くことにした。
1-4 サークル棟
サークル棟1階のラウンジに1回生たちがたむろしている。
玉川「あれ、みんなどうしたの?」
A 「あ、たまちゃん」
B 「安武さんに部室から追い出された」
坂神「えー?」
C 「部室でしゃべってたら、うるさいから出て行け!って」
玉川「そんなー」
坂神「えー?本当?ちょっと見てくるね」
1-5 部室
坂神が部室に行くと安武と吾下がコーヒーを飲みながらタバコをくわえている。
坂神「う、酒臭い。しかも・・・・」
吾下「あ、坂神おはよう!」
安武「お、坂神だ。久しぶり!」
坂神「みなさん、部室は禁煙ですよ!」
安武「あ、そうだ。今年から禁煙だったね。ゴメン」
2人はコーヒーを持って部室のドアに向かう。
坂神「あ、安武さん。さっき1回生がぐちってましたけど。追い出されたって」
安武「ああ、寝てるのにガヤガヤ騒いでるから、文句言ったんだわ」
坂神「ああ、それで。なるほど」
吾下「5時まで呑みながら整理してたからね。おかげで起きちった。ふあーあ」
安武「研究室で静かに作業しろっての」
坂神「彼ら慣れてないからね。はい、事情は分かりました」
安武「何?連中怒ってんの?泣いてんの?」
吾下「いじけちゃったかなあ?」
坂神「大丈夫です。ボクのほうで何とかします」
安武「いつも悪いね。よろしく頼むわ」
2人はタバコをくわえ、ベランダに出て行った。
1-6 サークル棟のラウンジ
5人のところに坂神が戻ってきた。
玉川「坂神さーん、どうでした?」
坂神「うん、大丈夫、大丈夫。怒ってるわけじゃないから」
玉川「ああ、よかった。心配しちゃった」
坂神「あの人たちの生活は普通じゃないからね」
B 「まともじゃないですよ」
坂神「標本・資料室でだべってていいよ。おそこはボクが責任者だから。今から整理しよう」
一同「はーい」
坂神「ちょっと臭うけど、資料もたくさんあるから勉強しなよ」
一同「はーい」
一同は坂神の後を付いていった。
坂神「あ、玉川さん。吾下が採集行くから部室に来るように行ってたよ」
玉川「えーっ!」
1982年4月 以下 次号
次回予告 志和ちゃんの誤算 の巻 乞うご期待。この物語は、事実を元にしたフィクションです。登場人物は、いそうですねえ。あまり感情移入しないでね!?今回は登場人物が多いので戯曲風にしてみました。ご意見、ご感想は、掲示板にお寄せ下さい。
付録@ 登場人物:外山志和 黒柳有大 吾下安利 安武八 細野宗雄 玉川千絵
付録A 今後の登場予定者:有永呂久 安仁真理 兜甲司 小鉄武士 嵐仁史 五右衛門 八角
一人だけ本名に似ちゃった!
CM 構想3日!遂に登場!待望の新シリーズ。あぶ先生の作品が読めるのは「アント☆だいありい」だけ。
第弐話 昆虫少年たちの末路
2-1 部室
楠 「ということで、今年の新入生歓迎合宿は、鶴ヶ島で採集・観察会とします。」
山田「詳細を説明します。プリントを見てください」
志和「朝6時集合?・・・・徹夜だ!」
吾下「コンパなし?ありゃあ」
山田「未成年には酒を飲ませるな、という当局の要請です。20歳以上は適当に呑んでください」
黒柳「標本製作の責任者かあ」
吾下「予備調査!?遊撃隊ですね?」
山田「あ、吾下くんと細野さんは、夏合宿の予備調査含めて自由に行動してください」
小鉄「久しぶりの鶴ヶ島だなあ」
吾下「バイクで行きたいんだけど」
楠 「安武(やすたけ)さんにも車で参加してもらうからいいよ。細野(ほその)さんもバイクかな」
吾下「移動して採集するのね」
D 「ボクもバイクで行っていいですか」
吾下「おまえは、原付のスクーターだろ!?あれじゃダメだね。林道走れない」
楠 「その件は、もう一度検討します」
玉川「みんな一緒に行動するんじゃないんですか?」
黒柳「調査内容が違うからバラバラさ」
玉川「じゃあ、わたしたちはどうなるの?」
楠 「部長である私と一緒に車で移動です。一緒に行動したい先輩がいたら調整します」
山田「2回生以上はグループ調整しますので、この後残ってください」
玉川「あらー、悩んじゃうなあ」
楠 「必ず、同じフェリーに乗ってください」
小鉄「安武さんの車なら自転車も積んでいけるよね」
黒柳「自転車2〜3台積んで行こうよ」
山田「それもこの後調整します」
C 「連休は自分の調査したいんですけど」
B 「ボクは実家に帰りたいんですけど」
楠 「1回生は、全員参加すること。新歓だからね。」
山田「個人装備もチェックしてね」
A 「シュラフ買わなきゃ」
玉川「えー、採集に登山靴いるんですか?」
吾下「サンダルでも大丈夫だぞ。自分で考えろ!」
玉川「はーい」
楠 「以上で今日の部会は終了です。自分の企画のある2回生以上は残ってください」
山田「20分休憩して再開します」
皆 「お疲れさま」ー」
一部「じゃあ、お先に失礼しまーす」
楠 「はーい、お疲れ」
山田「吾下(われもと)くーん。安武さんと細野さん、研究室から呼んできて」
吾下「はーい」
1回生と2回生の一部が部室から出ていく。
2-2 サークル棟の廊下
吾下「おーい、八角(はっかく)」
八角「はい、何ですか」
吾下「さっき、自分の調査って言ってたけど、もう自分のテーマ決まったのか?」
八角「ええ、行動生態やりたいと思って」
吾下「お、黒柳(くろやなぎ)の分野だね」
八角「えっ、黒柳さんてそうなんですか?」
吾下「そうだよ。毎日、実体顕覗いてるべ」
八角「あれって同定してるんじゃないんですか?」
吾下「目標2,000で、個体識別してるよ」
八角「そうだったんですか?」
吾下「で、もう何か始めたの?」
八角「ですから、連休から始めようと思って」
吾下「じゃあ、なおのこと合宿行かなきゃダメだよ」
八角「ええ?」
吾下「コロニー採集を大勢でやるからな」
八角「はい?」
吾下「一人とじゃ、取れる種類も数も違うからな」
八角「なるほど」
吾下「出まくりだから、楽しいぞ」
八角「はい、分かりました。ボクも一緒に頑張ります」
吾下「そうゆうこと。で、適当なコロニーをもらえばいいのさ」
八角「認識不足でした。ありがとうございます」
吾下「じゃあな」
吾下はW号館に入っていった。
2-3 有永研究室
吾下「こんばんはー。お迎えでーす」
安武「おお、部会終わった?」
吾下「はい。よろしくお願いします」
安武「すぐ行く」
吾下は隣の部屋に行く
吾下「細野さん、どーも」
細野「はいはい、聞こえましたよ」
吾下「よろしくお願いします」
細野「これ片付けたら行きますね」
吾下「毎日スケッチですか?」
細野「毎日ではないけどね。電顕も使うしね」
吾下「あ、そうですね。今度ぼくにも教えてください」
細野「いいよ、じゃあやる時に誘うよ」
吾下「では、部室によろしく」
吾下は出ていった
吾下「安武さん、失礼します」
安武「俺も一緒に行くよ」
2人は、研究室を出ていった
2-4 酒屋
吾下「これにしましょう。こないだ呑んだらうまかった」
安武「へー、山梨の酒かー」
吾下「こくがいいですよ」
安武「じゃあ、それといつものこれでいこう」
吾下「そうしましょう」
安武「つまみもいるか?」
吾下「前回の残りが冷凍庫にあります」
安武「ああ、そうだね。じゃあ、落花生だけ買ってくかい?」
吾下「そうですね」
店員「毎度ありがとうございます」
安武「あれ、兜(かぶと)くんだったよね」
兜 「はい?」
吾下「バイトしてるの?」
兜 「あ、どうも。今週からです」
吾下「部室にも遊びにおいでよ」
兜 「はい、ありがとうございます」
安武と吾下は、酒屋を出ていく
兜 「だれだったかなあ?」
2-5 部室
山田「じゃあ、こんな感じでいいですかね」
楠 「そうだね」
細野「いいんじゃない」
黒柳「そうですね」
吾下と安武が入ってくる
吾下「ただいまー」
山田「あら、遅いと思ったら」
細野「ほらね」
安武「えっ、だって呑むでしょ」
楠 「はい」
山田「でも、打ち合わせ終わっちゃいましたよ」
吾下「あら」
安武「ちょうどよかった。さ、呑みながら結論を聞こう」
細野「あっ、そういえば有永さんも行くらしいよ」
楠 「ええっ、本当ですか?」
細野「あの島は、有永さんのフィールドだからね」
山田「へー、そうだったんですか?」
安武「その縁で部でも継続してるんだ」
吾下「まりあさん知りませんでした?」
細野「分野が違うからね」
坂神「じゃあ、合宿中にお話聞けますね?」
細野「そうだね。夜な夜な来てくれるんじゃないかな」
安武「で、3グループで決まり!?」
山田「はい、安武さんは林床、細野さんは予備調査でお願いします」
細野「遊撃隊だね?」
楠 「はい、よろしくお願いします」
こうして、夜は更けていくのであった。
志和「あ、クロとサカがいない!逃げたな」
2-6 部室
一週間後、また部会をしている
楠 「という風に、3グループに分かれます。質問あります?」
山田「では、1回生は、コロニー採集か林床採集を選んでください」
楠 「特に希望がない人は林床ね」
B 「じゃあ、ボクはそれで」
玉川「私はどうしようかなー?」
黒柳「たまちゃん、行動をやるんならこっちですよ」
志和「あれ、たま!私と一緒に行きましょう!若いうちはマクロに捉えないと」
黒柳「向こうは肉体労働ですよー」
志和「大丈夫よ!重いものは男の子に持たせれば」
玉川「ひーん」
梅松「吾下さん、ボク友達のバイク借りられることになったんですけど」
吾下「お、やったね」
梅松「トレールですが50なんですよ」
吾下「大丈夫、大丈夫。じゃあ一緒に行こう」
梅松「はい、お願いします」
吾下「部長、いいよね。一回生が入っても」
楠 「そうですね。予備調査も人数いた方がいいですね。お願いしますね」
山田「では、以上で決定です」
楠 「じゃあ、土曜日。時間厳守でね」
皆 「はーい」
2-7 おばちゃんの店
駅と大学をつなぐ商店街、路地を入ったところに店はある。4人がけのテーブル2つとカウンターにイスが4つ。10人入れば一杯の店である。通称「おばちゃんの店」
安武「こ ん ば ん はー」
店主「あれ、久しぶり」
安武「カメラ買ったんで、金ないんすよー。自炊に励んでます」
吾下「どうも。ボクもラーメンライスの日々です」
店主「あら、アカちゃんも一緒!?今日ムネちゃんは?」
吾下「細野さんは、まだ研究室です。後で来るかな?」
安武「あいかわらず客いませんね?」
店主「そうなのよ。もう閉め頃かしらねえ」
安武「そんなこと言わないでくださいよ。ここが最後の砦ですから」
店主「またまた。口がうまいんだから」
吾下「本当ですよ。ここで栄養取ってるんですから」
店主「じゃあ、もうちょっとおいでよ」
安武「そうですね」
店主「ほらほら、座って座って」
吾下「あ、これ今年の新人、タマ、ハチ、ゴエモンです」
店主「いらっしゃい。よろしくね」
吾下「こいつらが常連になりますから」
玉川「ええっ?」
安武「あとから、楠(くすのき)と志和(しわ)ちゃんが来る予定です」
店主「あら、じゃあ貸し切りね」
玉川「ええっ?そうなんですか?」
店主「じゃあお嬢ちゃん、のれんしまってくれる」
玉川「はーい」
店主「さて、どうするの?呑むの?食べるの?」
玉川「私は食べまーす。のれんはここに乗せればいいんですか?」
店主「そうそう、ありがとうね」
伍 「あ、ボクも定食で」
八角「ボクは明日講義がないので大丈夫です」
安武「じゃあ、A定食2つと日本酒を1本ね」
店主「はいはい」
吾下「あばちゃん、お勧めのつまみはー?」
安武「あばちゃん、つまみ適当に出してー。奨学金入ったから」
店主「お金は心配しなくて大丈夫よ。あんたたちで儲けようと思ってないからね」
安武が1回生に話しかける
安武「この店よ、有永さんが学生の時から常連なんだよ」
玉川「へー、そうなんですか?」
八角「すげえ、じゃあ20年くらい前ですか?」
店主「そうよ、遠藤ちゃんとよく来ていたわね」
伍 「遠藤さんって、名誉教授の?動物行動学の?」
吾下「そうそう。その頃は生態学って言葉もないですよね」
安武「そんなことはないと思うけど・・・・」
玉川「歴史的な店なんですね?」
安武「ま、部室の別室みたいなもんだな」
玉川「吾下さんもよく来るんですか?」
吾下「冬場は通ってたね。俺の場合、冬場ヒマだったから」
玉川「いつ頃、自分のテーマ決めたんですか?」
安武「たまちゃん、こいつは昆虫少年だったから・・・・」
吾下「ですね。うちの代は子供の頃からの奴が多いですね。志和ちゃんくらいでしょ」
安武「おれは、高校からだからな」
吾下「たまちゃんは?」
玉川「私は二十歳すぎてからですね」
八角「えっ?」
慌てる玉川、安武は何気なく話を逸らす
安武「吾下!酒もってこいよ」
吾下「へーい、おばちゃん、勝手にやるよー」
店主「ああ、ゴメンね。適当にやって」
おばちゃんは揚げ物の作業をしている
安武「ぐい飲みがいいな」
吾下「そうですね。酒は八海でいいすか?」
安武「お任せするよ」
店主「あぶちゃん、刺身切ってくれない」
安武「はいはい」
吾下「あ、俺やりますよ。調理師免許持ってるし」
伍 「えー、吾下さん、何者ですか?」
吾下「ははは・・・・」
安武「じゃあ、頼むわ」
店主「はい、お待ちどう」
定食が2つ出てくる。鯨(げい)カツ、鯵(あじ)フライに芋サラダ、そして鯨汁(くじらじる)。
伍 「おー、ギトギト」
玉川「わー、すごおい」
吾下「はい、お待ち。さて、やりますか」
鰹と鮪の刺身である
一同「いただきまーす」
楠と志和も来て、一気に宴会になる
玉川「去年の今頃はどんなだったんですか?」
楠 「去年は8人入ったかな?僕らの代もその前も2人だったから大変だったよね」
安武「てゆうか、あの頃は廃部の危機だよ。俺の代は10人近かったよ」
楠 「ま、そうですけどね。OBに助けられてますね」
吾下「はい、追加の刺身の盛り合わせ」
安武「おお、これ何?」
吾下「鯨の尾の刺身・・・・ですって」
志和「やった。1年ぶり」
玉川「珍しいんですか?」
志和「知らない人は、食べんでよろしい」
楠 「志和さん、独り占めはいけませんよ」
鯨刺(げいさし)の取り合いになる
店主「大丈夫よ。まだまだあるから。今度、鯨刺し定食もやるから、食べにおいで」
楠 「だって。志和ちゃん、落ち着いて、落ち着いて」
玉川「で、どんなだったんですか?」
吾下「今年と特に変わらないよ」
安武「いやいや、おまえらの代は特別だよ」
吾下「そうですか?」
安武「だって、黒柳は『やっと一日中実体顕が自由に使える』って入学早々徹夜だろ」
吾下「そうだったんですか?」
安武「俺の飼ってたのをいくつかやったら、すぐ番号付け始めたしな」
吾下「ボクが入部する前ですね」
安武「俺も自分の研究が忙しかったから、詳細はわからんがな。そうだよな楠」
楠 「そうです。新学期早々、ずっといましたね」
安武「坂神も入部は早かったよな」
楠 「彼は、本当は入部する必要ないんですよ」
玉川「ええっ、何でですか?」
楠 「だって、自宅通学で、実体顕持ってるし、自分のフィールドもあるし」
玉川「昆虫少年ってやつですか」
安武「ああ、新聞社の賞を取ったて言ってたな」
楠 「顕微鏡は、その副賞らしいですよ」
吾下「やるなー。部室必要ないじゃん」
楠 「だからサークルは標本と人間関係だけなんじゃないかなあ」
玉川「それで資料・標本室の責任者なんですか?」
楠 「そうみたいね。自分から希望したからね」
吾下「へー、みんなそうだったんだ」
安武「おまえだって、講義さぼって細野さんと採集行ってたべ」
吾下「そうですね?入部してすぐに誘われたんですよ」
楠 「どこいったの?」
吾下「奥多摩です。細野さん出しまくりでしたね」
安武「坂神と小鉄(こてつ)は、暗室にこもりっぱなしだし」
吾下「そうですね。高校は写真部以外、暗室ありませんからね」
安武「志和ちゃんは・・・・。」
志和「えっ、呼んだ。安武さん、なになに?」
安武「いや、何でもない。さ、やるか?」
吾下「そうですね。呑みましょう」
こうして今日も夜は更けていく
玉川「あー、志和さん脱いじゃダメですってばー」
伍 「志和さーん、すてきー」
吾下「ピー、ピー」
1982年4月末〜5月初旬 以下次号
次回予告 志和ちゃんの誤算 の巻 乞うご期待。この物語は、事実を元にしたフィクションです。登場人物は、いそうですねえ。ご意見、ご感想は、掲示板にお寄せ下さい。
CM 待望の新シリーズ第2弾!あぶ先生の作品が読めるのは「アント☆だいありい」だけ。
第参話 お宝掘りの巻
3-1 グランド
細野は作業ズボンに地下足袋、吾下(われもと)はジーパンに登山靴である
細野「さて、やりますか」
吾下「ういーっす」
晩秋というか初冬というか、そんな時期である
吾下「八角が午後に来ます」
細野「安武くんも午後から手伝ってくれると言ってましたね」
吾下「1メートルじゃ狭そうですねえ」
細野「では、1.5メートルにしますか?」
吾下「そうですね」
細野「まだ、歩いていますねえ」
吾下「そうですね。2月の厳冬期も出てますからね。切りないですよ」
細野「そうだね。さて、代わろうか?」
吾下「はーい。お願いします」
黙々と作業を続ける。3時間で1.5メートルの深さまで降りた
細野「そろそろヘルメットとバケツが必要ですね」
吾下「2.5メートルまでは大丈夫ですよ」
細野「えー、ボクには無理だなあ」
吾下「では、説明しましょう」
細野「おお、技だなあ。吾下くんは何でもできるねえ」
吾下「はい、伊那者ですから」
細野「え、田舎者?」
吾下「いえ、伊那者です。縁は異なもの・・・・ってね」
細野「なるほど」
吾下「本当に2人でやるんですか?」
細野「大丈夫、やってできないことはない」
吾下「本当ですか?」
細野「心配するなって、手伝いもくるからさ」
さらに2時間、2.3メートルとなった。
細野「よし、掘りは一段落で、採集準備をしよう」
吾下「ゼロ点ですね」
細野「とりあえず、昼飯にするべ」
吾下「そうしましょう」
そこに安武、八角、志和がやってくる
志和「差し入れだよー」
安武「ラーメンとチャーハンを持ってきました」
吾下「ええっ!?」
細野「いつもありがとう」
安武「やっぱり野外調査は、ラーメンライスだよね」
細野「定番だね」
安武がリュックから袋を取り出す
安武「はい、これも差し入れ」
吾下「おっ、恵比寿さま」
志和「延びちゃうから食べよう!いただきまーす」
全員「はいっ、いただきまーす」
食後、吾下と八角はサッカーボールを蹴りあっている。安武と玉川はタバコを吸っている
細野「あいつら元気だなー」
安武「基礎代謝が違いますよね」
玉川「年寄り臭いこと言わないでくださいよー」
安武「ははは・・・・」
細野「さ、やるか。おーい吾下くーん、再開するよー」
吾下「はーい」
細野「じゃあ、安武くんは写真をよろしく」
吾下「俺と八角が掘りますから、細野さんと志和ちゃんでデータ取りお願いします」
細野「たまちゃんは、雑用一般で。ま、助監督ですね」
玉川「はーい、何でもやりますよ」
志和「いくつとるの?」
細野「4コロニーかな」
志和「5コロニーにして、1つちょうだい」
細野「いいですよ」
吾下「じゃあ、きちんと手伝ってね」
志和「はいはい、任せてちょーだい」
吾下「じゃあ、崩し始めますよー」
全員「りょうかーい」
コロニー採集は暗くなるまで続いた
部室(談話室)
泥だらけで、みな帰ってきた
玉川「お疲れでーす。お茶入れますね」
細野「ありがとう」
志和「わたし今日バイトなので、また来るねー。たま!私の代わりよろしく」
玉川「はーい」
安武「オレも研究室に帰るわ。今日は呑まないべ」
細野「そうだね。後処理あるし、明日もあるし」
安武「じゃあ、また明日」
皆 「お疲れでーす」
玉川「はい、お茶です」
吾下「ありがとう。とりあえずこのケース冷蔵庫に入れてくれる」
細野「さ、着替えてやりますか!」
八角「そうしましょう」
玉川「白衣が茶衣になってますね」
皆、着替えに行く
吾下「たまちゃん、その後どうよ」
玉川「えっ、何がですか」
吾下「大学生活さ」
玉川「楽しんでますよ。講義も面白いし」
吾下「自分のテーマ見つかった」
玉川「そうなんですよ。私も本格的に飼育もしようかな・・・・と思ってるんですけど」
吾下「おお、それはいいね。日常的につきあえるからね」
玉川「何にしようかと思って」
吾下「じゃあ、とりあえずこれにしなよ。採集後は、皆で買うからさ」
玉川「いいんですか?」
吾下「データを取るから取れるだけ取るけど、飼育は主目的じゃないからね」
玉川「じゃあ、ぜひ1コロニー下さい」
吾下「オレが中心だけど、黒柳も志和も飼うらしいからな」
玉川「そうなんですか?志和さんもう飼ってますよね!?」
吾下「小さいのはな。今度もナンバリングしまくりだべ」
玉川「ああ、悪夢が、トラウマが」
吾下「ああっ、人間不信になった事件ね」
玉川「良い勉強しました」
吾下「はははは・・・・」
細野と八角が戻って来た
細野「では、やりますか」
4人は、研究室に移動した
部室(研究室)
細野「今日のところは、たいした作業はないんだわ」
八角「カウントしないんですか?」
細野「ほら、土まみれ泥まみれだからね」
吾下「なるほど。自分らで移動してもらうわけですね」
細野「そうゆうこと」
吾下「ケースは3連でいいですね」
細野「そうだね」
吾下「じゃあ、八角は板切って」
八角「40センチですね」
細野「そうだね」
吾下「たまちゃんはチューブ切って」
玉川「はーい」
細野「前に作った石膏巣あるよな」
吾下「ああ、まだあるかなー。黒柳の管理下なんですよ」
細野「なるほど。じゃあ、呼んで来てよ」
吾下「そうですね」
吾下は、部室を出ていく
細野「じゃあ、穴開けるか!」
こうして、今日も夜は更けていく
細野「明日は4コロニー取るぞー。7時集合なー」
グランド
細野がブルーシートをはがしている
志和「おはよー」
細野「早いね。徹夜だね?」
志和「そうでーす。ああ、朝日がまぶしい」
吾下がバイクでやってきた
吾下「おはよーっす」
玉川「おはようございます」
細野「あれ、たまちゃん!」
吾下「1限がないというので連れてきました」
細野「ありがたい。よろしくね」
吾下「さあ、やりますか」
細野「そうだね、八角を待っていてもしょうがない」
吾下「じゃあ、崩しますよ」
細野「たまちゃん、測定係ね。志和ちゃんと組んでね」
吾下「部屋でましたー」
細野「お、早いね。さ、計って下さい。ボクは部屋のデータを取るからね」
吾下「こいつら蟻酸ださないから楽だよね」
吸虫管をくわえて吸っている。安武が自転車でやってくる
安武「今日はつきあえないんだわ。カメラは置いてくから使って」
細野「ありがとう。どこか行くの?」
安武「今日は有永さんの手伝いなんだ。明日は大丈夫だから」
細野「了解」
吾下「どこ行くんですか?」
安武「房総らしいわ」
玉川「お気をつけて」
安武「じゃあね。夜は顔出すからね」
吾下「はーい」
安武は走っていった
細野「志和ちゃん、写真撮れるよね」
志和「はいはい、わたしは何でもできますよ。細野さん撮らないんですか」
細野「ほら、手が泥泥だから」
志和「なるほど。お任せあれ『へへ、これで土に触れずにすむぜ』」
順調に作業はすすむ
玉川「わたし2限があるので、そろそろ行きまーす」
安武「りょうかーい」
玉川「安武さんは、講義ないんですか?」
安武「今年は適当に取れるだけ。4年間で卒業しないから」
玉川「そうなんですか!?」
志和「青春だねー」
玉川「あれ、志和さんは?」
志和「私は、ばっちり計算してるからね。単位は取れればいいのよ。Cで十分、実力重視よ」
玉川「はあ?そうですか。ま、講義行ってきます。実習終わったら部室に行きまーす」
安武「はいはーい」
細野「えらいなー、ちゃんと講義出るんだ」
志和「講義に出れば偉いってもんじゃないわよ」
細野「そう?」
志和「人生を考えながら、講義も出なくちゃ」
吾下「おお、凄えっ」
細野「なるほどねえ。言い得て妙だ」
こうして2コロニー採集終了
細野「昼飯にするべ」
そこに阿仁(あに)がやってくる
阿仁「おー、やってるやってる」
吾下「阿仁さん、久しぶりっす」
細野「阿仁、元気してた」
阿仁「皆さん、ご無沙汰です。体調はいまいちですが、何とか生きています」
志和「阿仁さんは、研究室どこなんですか?」
阿仁「ボクは環境研、土壌動物だね」
志和「なるほど。今度、話し聞かせてください」
阿仁「うん。冬合宿は行けると思うんだ」
細野「で、今日はどうしたの?」
阿仁「掘ってるっていうんで差し入れ持って来た」
吾下「やったー」
志和「うれしー」
阿仁「ハンバーガーとクリームスープ。コーンスープもありますよ」
細野「ありがとう。ちょうど飯喰いに行こうとしてたんだ」
吾下「タイミング、ばっちりですね」
阿仁「食べて食べて」
志和「はーい、いただきまーす」
吾下「昨日といい、今日といい、良い先輩ばかりですね」
細野「きつい調査をするとな。支えてくれるんだな」
志和「ヒマなのね!」
細野「そうとも言える」
食べきれないほどのハンバーガー
志和「ああ、おなかが膨れたら眠くなってきた」
志和は、ゴザに寝ころんで寝てしまった
吾下「あーあ、志和ちゃんだなー」
八角「すごいですねー」
細野「徹夜だったらしいですからね。ま、寝かせておきましょう」
吾下「ですね。午後も2コロニー掘れるでしょう」
細野「だね、明日の午前中に2コロニー採集して、午後に埋めましょう」
吾下「そうですね」
作業は、黙々と続いた
志和「あれ、暗くなってる。寒ー!」
部室(研究室)
志和「ひどーい。華麗な乙女を放って置いて」
細野「お、志和さん、起きました」
吾下「毛布かけておいたべ」
志和「あら、かかってなかったわよ」
八角「石膏はこんなもんでいいんですか?」
吾下「そうだね。かきまわして、流し込んでくれ」
八角「了解」
志和「あれ、たま!指どうしたの?」
玉川「ガラスで切りました」
志和「あら」
細野「案の定・・・・ってやつですね」
吾下「ま、切れただけだから大丈夫」
細野「志和ちゃんも来たし、昨日の分のカウントをしましょう」
皆 「はーい」
細野「種子は、まだ完全に分離してないので後回しにしてと」
吾下「アダルトとヤングのカウントですね!?」
細野「そうゆうこと。たまちゃーん冷蔵庫から出してきて」
玉川「はーい」
細野「では分離して、志和ちゃん写真に撮って焼いてくれるかな」
志和「はいはい、白黒でいいわけですね」
細野「そうゆうこと。ヤングは大きさ別に並べてね」
吾下「了解。八角、アダルトをピンセットで数えながら移動させてくれ」
八角「はい、わかりました」
安武が入ってくる
細野「あれ、早かったね」
安武「うん、暗くなったからね」
吾下「なるほど」
細野「じゃあ、阿武くん、志和ちゃんと一緒に写真をお願い」
安武「了解。ま、とりあえず呑むか!?」
細野「そうだね。肉体労働の後は酒だよね」
吾下「では、呑みながらやりますか」
細野「飲み過ぎない程度でね」
こうして、今日も夜は更けていった
細野「明日も7時だよー」
吾下「志和ちゃん、もう寝てるし」
グランド
次の日も早朝から作業は続いた。採集を終え片付けている
細野「何とか暗くなる前に片付いたね」
志和「お疲れさまでしたー」
吾下「土が残ってますけどー」
安武「これは、ピッチャーマウンド風に加工すれば大丈夫!」
細野「いや、雨が降ると穴が凹むから、それから処理しよう」
安武「じゃあ、終わりましょう」
黒柳「深い穴でしたねー」
6人は、荷物を持って移動を始めた
サークル棟入り口
屋外水道でシャベルを洗っている
細野「阿武くん、シャベルとメットを研究室に運んでくれる」
安武「了解。じゃあクロ手伝って」
安武と黒柳は、シャベルを背負って、メットをかかえ闇に消えていった
部室(研究室)
吾下「部屋はうまく記録できましたね」
細野「前回は、訳分からなくなったからね」
吾下「トレース紙に清書しますね」
細野「そうだね」
吾下「植生の調査は明日しますか?」
細野「そうそう、植物生態の草間くんが来てくれるんだ」
吾下「これは楽だ。さすが」
細野「明日は10時に研究室集合ね」
吾下「有永研ですね」
細野「そうゆうこと」
吾下「タマちゃんもおいでね」
細野「で、採集した種子は、体積と重さを量って、種子別のだいたいの割合を出せばいいっしょ」
吾下「そうですね。早くしないと食べられちゃう」
玉川「では、明日餌用の種子採集もしましょうよ」
細野「あ、それがいいね」
安武と黒柳が入ってくる
安武「お待たせー」
玉川「お帰りなさーい」
安武「まだかかる」
吾下「今日はもう終わりです」
細野「後は明日だね」
こうして、またまた夜は更けていく
吾下「あの穴、もったいない、住みたかったなあ」
1982年11月 以下 次号
次回予告 志和ちゃんの誤算 の巻 乞うご期待。いつになるんでしょうね。この物語は、事実を元にしたフィクションです。登場人物は、いそうですねえ。ご意見、ご感想は、掲示板にお寄せ下さい。
CM 早くもマンネリ化!あぶ先生の作品が読めるのは「アント☆だいありい」だけ。
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