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独占スクープ 現代の奇病 アリ病の恐怖 |
「劇症型急性アリ飼育症候群」という病名を聞いたことがあるだろうか?潜在的に進行し、まだ社会現象化はしていないこの病気。先月開催された神経精神学会で「アリ病に関する考察」なる報告がなされた。報告者は筑波医科大学の有永呂久助教授と筑波アリ類研究所の安武八所長である。ウィルス起因説を唱えているが、毒物中毒の可能性も示唆している。私たち調査班は、500人にものぼる感染者を確認した。そして、3人の劇症型患者に取材ができた。まずは、その報告レポートである。
ケース1 アリが知りたい! 外山志和さん(仮名28才女性)
アリの事なら何でも知りたいです。もう夢中って感じですか。えー、病気?そんなことはないですよ。飼っていると言えるほどではないですから。全然、うまく飼えないんですよ、ヘヘヘ・・・。
ケース2 1日5時間 黒柳有大さん(仮名38才男性)
いろいろな生物を飼ったり観察してきましたが、こんなに面白いのは初めてですね。どこにでもいますしね。今まで手を出さなかったのが不思議なくらいです。病気?ふーん、なるほど。それは面白いですね。ああ、煙草も依存症で病気?なるほど、それなら私も病気だ、ハハハ。
ケース3 採りたい! 吾下安利さん(仮名34才男性)
はい、もう完全に病気ですね。中毒症状もありますね。こんなに面白いとはね。仕事との両立はできていますが、家庭の崩壊は近いかもしれません。でも、やめられませんね。今日も今から、フフフ。
あまり自覚症状はないようだが、有永助教授は「よくある話です。体に変調がなければ病気とすぐ認める人は少ないですよ。あの3名は、明確に感染しています。しかも劇症タイプですね。治療を始めれば徐々に自覚するでしょう」という。自覚症状の不明瞭が、今までアリ病が社会認識されなかった大きな要因のようだ。
インターネット社会の落とし穴 アリ病とインターネットの陰湿な関係
有永助教授によれば「インターネットにより感染が拡大している」という。インターネット上では、ここ数年でアリに関するホームページが急激に増加している。10を越える個人サイト、2チャンネルという会話サイト、そしてデータベースという巨大サイトまで存在する。そして、取材を続けて驚くべきことが発覚した。何と!アリが売買されているのである。
インターネットにアリのホームページを開設している2人の大学院生のはなし
JKさん(27才)
私の場合は、生物学的研究活動部分とインターネットという遊び部分との結合ですから病気ではありません。これを病気といったら、世界中の研究者や科学者はすべて病気でしょう。
ANさん(26才)
病気ということはないですねえ。アリは小学生の頃から続けています。アリを見ていると癒されますから、ぼくにとっては薬ですねえ。
アリ販売業者・安東室武(仮名)さんのはなし
アリは採集して売っています。虫好きの人へのサービスですね。交通費や飼育道具の経費を考えると採算は全く合いません。購入者も採集に行く費用を考えたら高くはないでしょう。実際、買う人が多数いるわけですから。
そうですね、始めて5年目ですけど年々購入者は増えています。ごくごく普通種ですから、乱獲や自然破壊にはなりませんよ。地域種の移動が騒がれていますが、飼って増やせるほどアリの飼育は簡単ではありませんよ。アルゼンチンアリを輸入して売っているわけではありませんからね。そこんとこ、よろしく。
恐怖 一匹のアリを拾っただけで
何と!一匹のアリを拾っただけでアリ病に感染するというのだ。現在は1,000匹を越えるアリを飼育する吾下さんは言う「家の近所で拾ったんですよ。でかいなーと思ってインターネットで調べたんです。アリらしいし、飼えるようなので、早速、試してみたんです」。多くの人は同様のパターンで感染するようだ。生物学界にも詳しい大学院生JKさんは「7、8年前にデータベースが公開されました。画期的でしたね。インターネット上でアリの名前が調べられるなんてね。今ではサイトも増えて何でも調べられる感があるインターネットですが、研究者も使える図鑑類はほかにありませんね」。安武所長は「アリの飼育といえば夏休みの自由研究で小学生のものでした。アリ研究者が書いた飼育解説書も児童書が多いですね。データベースの付録的に飼育方法が載っているので、これがワンポイント。でも何と言っても、個人のホームページですね。多数の飼育者が自分のホームページ上で飼育方法を公開しています。そこのBBSで初心者が直接飼育方法を聞けることが最大ポイントでしょう」と語る。10年以上飼っている大学院生ANさんは「飼うこと自体は簡単です。でも何年も継続してアリの数を増やしていくのは難しいですねえ。アリは種類が多いし、大きさも様々で、餌も多様ですからねえ。奥が深いです。ぼくのホームページですか?はい、初めての方からの問い合わせは多いですねえ。5月、6月の結婚飛行シーズンには5人くらい、夏休みに入ると10人くらいの方が来ますね。アクセス数が多いのもこの時期ですねえ。会話が増えたらアクセス数も急激に伸びて1,000を越える日もありますねえ。僕らの会話を参考にしてアリを飼い始めている人は仰山いてると思いますよ」と、潜在的なアリ病予備軍は多数いるというのだ。
ほんとうに危険 取材班スタッフもアリ病に感染!
では、と取材班ではアリの飼育を始めた。販売業者の安東さんにアリと飼育セット一式を用意していただいた。一つはムネアカオオアリという日本で一番大きいアリ(安東さん談)の女王様とまだアリになっていない子供たちである。もう一つ、クロヤマアリという一番普通のアリで、女王と働きアリ50匹ほどのもの。飼育ケースは、石膏にガラスが張ってあり、中のアリの様子が見えるようになっている。付属した餌場に、餌を入れると、アリが出てきて食べるのだ。これを2セット用意していただき、スタッフ2名が飼育を開始した。三村(23才女性)と五頭(38才男性)である。2ヶ月が経過し2人の様子を聞いた。
司会:さて、ちょうど2ヶ月過ぎましたが様子はどうでしょう?
三村:うちのキャメリ一家は、子供たちが5人になって、すっごく可愛いですよ。フォンキー一家は、たくさんいてもう数えられません。卵もいーっぱい!餌場を走り回っていますよ。
五頭:うちは、子供たちが世話してくれています。まあ、順調ですかね。かみさんは駄目みたいですね。仕事でなかったら無理でしたね。
三村:あら、それは大変ですね。私は大好きですけどね、すっかり、はまりましたね。毎日、餌をあげてます。
司会:餌が大変と聞きましたが、どうしてますか?
三村:私は、安東さんから購入した餌で、済ましています。いたって簡単ですよ。
五頭:うちは、蜂蜜や食事の残り、子供たちが庭で虫を見つけては餌にしてますね。
三村:餌を食べた子が、巣に戻ってほかの子に口移しをするんですよ。これがもう、たまりません。テレビを見る時間が減っちゃいました。こないだもチーフにニュースくらいチェックしろと怒られました。
司会:これは、かなり病気ですね。三村さん病気ですよ。ねえ、五頭さん。
五頭:そう三村、チェックは仕事中にするんだよ。そうじゃないと家でアリを見る時間が減っちゃうだろう。だいたいお前、個体数も数えられないんじゃしょうがないだろう。卵、幼虫、蛹も種類別に全部数えるんだよ!
司会:え、五頭さん。アリの世話は、お子さんがしてるんじゃあ?
五頭:そうだよ。世話は子供がして、オレは観察をしているんだ。毎日3時間は見ているなあ。今日だって、こんなことしてる暇ないんだよ!明日、子供とヨツボシオオアリ採りに行く約束してんだから。帰って準備しなきゃ。
司会:あれ、あれれれ・・・・
国・厚生省は早急に対策を!
このように、あっという間に感染するアリ病の実体が明らかになった。有永助教授の推計によると全国で急性アリ病感染者5,000人、劇症型は200人いるという。アイブベアの堀口社長も保菌者だという。しかも、年々増加の傾向にあり、5年後には10倍、10年後には50倍になると予測している。このままでは、日本中アリ病患者になってしまう。
経済的にも政治的にも大問題だと経済学者の四州大学・高松教授は言う「5点ほど挙げましょうか。まずテレビを見る時間が減りますね。これだけでも経済は大打撃です。視聴率が下がるということは、CMの金額が下がる、出演者のギャラが下がる、笑いが減る、CM商品の売り上げが落ちる、不景気になる。仕事に余裕ができてアリを飼うと、悪循環にはまり込みますね。2点目に、虫を餌にするために殺虫剤の使用が減ります。その延長で農薬の使用反対派が活気づきますね。無農薬が蔓延すると農協が打撃を受けます。農薬が売れないと農協は致命的です。現在でも国・農林水産省の農業政策に不満が蔓延していますからね。これが一気に拡大し、同時に民自党は票田が壊滅します。社会不安が広がりますね。さらに3点目、アリの棲息場所を見たくなったアリ病患者が山野に出ます。ただでさえ花粉病が問題になっている状況で、アリのいない杉林に不満が爆発します。材木として売れない、花粉は出す、動物の餌は生産しない、保水力はないと、使えない杉林を広葉樹林や松林に戻せ!とね。杉の植林を推進した農林省は危機ですね。同時に松枯れ対策での農薬散布の犯罪性が再度問題化しますね。裏金問題もね、外務省、厚生省、総務省と続きましたからね。全省庁で調査ですね。大幅な政治改革が起きるでしょう。そして4点目、野外に行ったついでに山菜、ノイチゴ、アケビ、キノコ、ドングリや山栗などを採って食べ、日本人本来の味を思い出してしまいます。ここ数十年で日本人の食文化は乱れて来ましたからね。でも数千年かけて構築された味覚文化は、簡単に戻れます。高級食材やファストフードが売れなくなります。あと一つ、野外に着飾って化粧していく人はいませんね。アリも化粧品の香りに敏感に反応しますからね。スズメバチもね。生活全体が質素になってしまいます。挙げ句の果てに、多少の汚れを気にしなくなります。日本は高度成長期以降、綺麗で清潔、豊かな生活を目指してきました。この構造が崩壊してしまうのです」。国会議員でもある欲添さんは「そんなことになったら、金が回らなくなります。金が回らなければ日本は駄目なんです。日本人は、綺麗にして着飾って、豪華で美しいものを食べ、ボーッとテレビを見て、何も考えずに仕事をして、投票しなければ駄目なんだ。こんな病気が蔓延したらもう、この世は終わりですね。どうしようもない。すぐに厚生省に働きかけますよ、総理に言って」と語った。これで安心だ。可及的かつ速やかに対策が取られ、社会問題になる前にアリ病ウィルスは絶滅するであろう。
しかし、厚生省は対応する気はないようだ。特殊疾病対策課長の熊本さんは「アリ病ですか?はー、そんな報告がねえ。筑波医大の助教授ですか?あそこは異端ですから。高松教授のコメント?彼も異端ですからね。うちの諮問委員である教授達からは何も聞いていませんよ」という。やはり厚生省は旧帝国大学しか相手にしないようだ。日本の未来は危ない! 以下、次号
特別掲載:有永助教授のご厚意により「アリ病に関する考察(要約)」を全文掲載します。
アリ病に関する考察(要約)
有永呂久(筑波医科大学)、安武八(筑波アリ類研究所)
はじめに
・「アリ病」とは、2002年安武八により確認、提唱された症状である。
・安武と有永による共同研究により感染者の症状解析と全国3カ所延べ5万人の疫学調査を行った。
・以下、第1回の中間報告として、現在までの知見を報告する。
アリ病の解析結果
・毒物被曝と同様の症状分布を示し「慢性型」「急性型」に分けられる。
・日本国内3カ所の調査では有為差は見られなかった。が、「都市部に多い」傾向が見られた。
1。慢性アリ病
・慢性型患者28人の症状を解析した。
・問診結果では、急性型から慢性型に移行した患者は確認されなかった。
・4年から10年で病状が確立する。
・自覚症状が現れるのは、20から30代の男性に多く、希に10代で症状が現れる者がいる。
・精神的にも社会的にもバランスが取られながら進行するので社会問題にはならなかった。
・大学農学部では古くから同様の症状が確認されていた。が、病気の認識はされていなかった。農学部特有の風土病である可能性は否定できない。
2。急性アリ病
・急性アリ病と思われる患者18名の症状を解析した。
・3ヶ月から6ヶ月でアリ病の症状を露呈する。
・「劇症型」が5名確認された。
3。急性劇症型アリ病
・毎日2時間から6時間、多い日では15時間にもおよび発症する。
・発作的に工作、採集、購入などの行動を行う。
アリ病の諸症状(略)
1。アリ飼育症状(略)
2。アリ採取症状(略)
アリ病の原因
・アリ病はウィルス性である。
・インターネットの普及と共に感染者が増える傾向が見られる。
・よって、ウィルスは他の病原性ウィルスと異なり生命体ではない。コンピューターウィルスという新種のウィルスである。
・以前の慢性型感染は空気感染であった。空気の振動を利用し、感染は起こったと考えられる。
・今後、さらに拡大が予測され、早急に対応が必要である。
対処方法
・毎日の症状欲求は他の行動への転化や抑制により押さえられるが、発作が増加する。かえって、病気が悪化する。
・病気であることを本人に自覚させ、家族は暖かく見守るのが必要である。数年で落ち着き日常生活に戻ると予想できるが、今後の継続観察および研究が必要である。
今後の課題(略)
謝辞(略)
この文章は、現実を基にしたフィクションです。登場人物は「いるようでいません」という事にして下さい。「これは私だ」と思った方、勘違いです「あなたではありません」。 いなか・あぶ
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